【中受07】令和の中学受験 ~矢野耕平/著~

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再読推奨度(☆1:小~☆5:大)

☆☆☆☆☆(親)

難易度(☆1:優しい~☆5:難しい)

☆(親)

感想 

これから中学受験を検討する親御さんはもとより、既に中学受験に向かっている方にもお薦めの書籍です。「保護者のための参考書」と謳っているだけある内容となっていました。購入する価値は十分にあると感じました。

作中引用(感情が動いた文言等)

・中学受験は「6年生の入試本番終了日」までの「期限付き」の世界なので「限界」がある。

・「限界」を意識して子に接している保護者の子は、ぐんぐん学力を高められる可能性がある。

・中学受験を「二人三脚」で乗り切る家庭の子は、中学入学後に学力が低迷する。

・適当な距離を保ち、子が自ら学習に励む場合、中学入学後も学力が伸びる。

ー国語得意の子の幼少期の共通点ー

  ①保護者とたくさん会話をしている

  ②絵本がたくさんあり、保護者が読み聞かせをしている

  ③家庭が新聞を購読している

・大切なのは、子供のレベルにあわせず、大人のことばで会話すること。

ー塾通い前にやることー

・算数

  ①計算技術の取得。百マス計算も有効。九九の暗記

  ②日常の「長さ」、「重さ」、「かさ」などの単位に触れる

・理科

  ①家の手伝い、料理の補助などの経験

  ②ニュースや天気予報を毎日チェック

  ③博物館、プラネタリウムへ行く

・社会

  ①旅行時に、地図を見るクセづけ

  ②ニュースを見る習慣づけ

ー準備に出遅れたらー

  ①最初は付きっきりで管理し、教える。(親がツケを払う)

  ②塾が肩代わりをしてくれると思ったら、甘い

  ③感情的に𠮟らないよう、気をつける

  ④子供が「自立」して受験勉強を行えるようにする

・大切なのは、中学受験時の「学習状況」のレベルを、保護者が理解すること。

ー親に求められる3つの覚悟ー

  ①子の成績に一喜一憂しない

  ②中学受験を決めたら、意思を貫徹する

  ③勉強をする子供をかわいそうと思わない

・保護者(大人)が、子の積極性を引き出せるかがポイントとなる。

中高一貫校6年での子供の財産になるのは「友達」。

・「偏差値レベル」が高いほど、「精神年齢」の平均値が高くなる傾向がある。

ー男子校、女子校のメリット・デメリットー

 メリット 互いの本音をぶつけやすい

      大人になっても人間関係が続きやすい

      外見で判断されず、生命力、個性が評価されやすい

      ガリ勉が評価されやすい

      受験勉強に専念しやすい

 デメリット 人間関係のトラブルが発生しやすい

・中高6年間で、どんな子供たちに育てたいか、しっかり保護者に伝えられる学校は「良い学校」

・中学受験の主体は子ども、心から行きたい学校ができれば、モチベーションが上がる。

・「わが子に合う」学校は、おそらく存在しない。

・「第一志望校」は一校でなくても構わない。

・塾選びのポイントは、「どんな講師に習えるか」である。

・中学受験は課金ゲームではない。

ー塾選定のポイントー

  ①教育理念・指導方針・指導カリキュラム

  ②子:勉強が専念できる、親:家庭のケアされる環境

  ③安定の塾生数、幅広い学校の合格実績

  ④HP更新の頻度

  ⑤事務受付対応、料金受領システムの整備

ー良い講師とはー

  ①カリスマ講師である必要はない

  ②子に親身に接し、家庭からの相談をしっかり聞き、アドバイスをくれる人

ー塾をやめたいと言った場合ー

  ①テキスト、質、量が今の学力に合っているか

  ②不明点を塾の講師に適時質問できてるか

  ③必要以上の課題に取り組んでいないか

  ④遠回りの学習をしていないか

・中学受験は団体戦ではなく「個人戦」である。

ー教育とはー

  ①子が「自ら教わり、自ら育つ」ように周囲の大人たちが働きかけること

  ②「やるきスイッチ」を押せるのは、子ども自身でしかない

・「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」(肥前国平戸藩第9代藩主:松浦静山の格言)

・「合格に不思議の合格あり、不合格に不思議の不合格なし」

・子が自信喪失したとき、演技でいいから、救う温かな言葉を投げ続けること。

ー中学受験期(6年生)の保護者はー

  ①不安であっても、泰然自若の姿勢を貫く

  ②常に「平常心」を保っているように「ふるまう」姿勢が、合格を手繰り寄せる

  ③「いかに特別なことをしないか」という「努力」を行う

ー受験直前、生活リズムの作り方ー

  ①一週間の学習の流れの「ルーティン化」

  ②就寝・起床のタイミングの一律化

  ③「無理」な学習スケジュールを組まない

  ④「自由時間」の確保

ー中学入試直前期 3つの「ない」(親子とも)ー

  ①自分の受験校、成績を絶対に「言わない」

  ②他人の受験校、成績を絶対に「たずねない」

  ③どんなに仲良しでも絶対に「群れない」

 ー模試試験、志望校の選定目安(同じ種類の模試試験を、小学6年生の夏以降に3~5回程度受験した平均値から割り出す)ー

 挑戦校・・・平均偏差値プラス4以上

 実力相応校・・・平均値プラマイ3

 安全校・・・平均値マイナス4以下

・「安全校」を受験して、確かな結果が届く用意を親か行うこと。

ー「1月入試」の活用法ー

  ①2月以降の本命校の絶好の備えとなる

  ②但し、練習台、すべり止めなどと甘い考えは禁物

・受験パターン構築の際、保護者は徹底して「臆病」になるべき。

・中学受験を終わらせるのも親の務めであり、どのような結果であれ、子に労いの言葉をかける。

・「全敗」は親のせい(戦略的に組み合わせていけば、まず全敗はない)

・中学受験は「自ら教わり、自ら育つ」姿勢を身に着けられる絶好の機会となる。

 

 

 

【中受06】十四歳日和 ~水野瑠見/著~

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再読推奨度(☆1:小~☆5:大)

☆☆☆

難易度(☆1:優しい~☆5:難しい)

感想 

多感な時期の感情を、複数の目線から表現していて、またそれらが上手く絡み合っている、読みやすい一冊です。これから十四歳を迎える子供はもとより、大人が読んでも懐かしさを感じる良書だと思います。ぜひご一読ください。

【中受05】なぜ科学を学ぶのか ~池内了/著~

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再読推奨度(☆1:小~☆5:大)

☆☆

難易度(☆1:優しい~☆5:難しい)

☆☆☆☆

感想 

文系の私にとって、科学を学ぶ意義、重要性を知ることができました。ただ、一読目で内容を理解することが難しかった箇所が多かったです。2度3度読み返すことで、より理解が深まると感じました。

作中引用(感情が動いた文言等)

・科学、技術文明の時代を生きるために、理科を学ぶことは現代人の常識

・同時に、必ずしも、科学・技術は善でなく、万能でなく、良いことだけではない

・良し悪しを区分けする目を持ち、良い面を伸ばし、悪い面を抑える

・勉強とは、いろんな知識を吸収するなかで自然や社会の仕組みをおのずと理解していく過程であり、健康的で豊かな生き方ができ、理知的な力(真偽、善悪を見抜き、知的に物事を認識する能力)を養う準備をしている

・科学を学ぶとさまざまな問題に応用でき、科学の力によって物事の仕組みや歴史的繋がり、思いがけない社会的関係までも発見できる

・科学は、見えない部分で何が起こっているかを想像し、あたかもそれが実際に目の前で起こっているかのうように見抜く学問

・人間の結びつき(6次のつながり)

・地球が温暖化すれば、ヨーロッパや北アメリカは寒冷化する(北大西洋深層循環流)=パラドックス

・科学的な考え方(①個人の感情を交えない、②自分の経験を絶対視しない、③鵜呑みにしない、④不愉快な事実も受け入れる、⑤科学の知識量ではない

・科学・技術のデュアルユース(軍民両用の二面性使用)=あらゆる技術が対象

・役に立たない研究の大切さ=急がば回れ

  • 学校で様々な科目の勉強をすることは、分科した幅広い学問分野の内容を継承するためですが、同時に分野ごとに異なった学問の考え方や進め方などを学び身に着けるためでもあります。だから、勉強は、単に知識を増やすためだけではなく、その知識を生み出しす過程で、どのような考え方がとられ、そのように研究が進められ、そのようにして人類共通の財産として活かされるようになったか、を学ぶためでもあります。私たち自身が生きていく上で、先人たちが培ってきた知恵、知識を自分たちの力としていくための重要な機会なのです。

〜まとめ〜

・人間は、日ごろから考えていないと、いざという時に慌ててしまい、自己保身や責任逃れに走ることが多い

・他人に対する批判は、無責任な放言ではなく、必ず自分に跳ね返ってくる

・自分を客観的に見つめ直すよう心がける

 

 

【中受04】はずれ者が進化をつくる ~稲垣栄洋/著~

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再読推奨度(☆1:小~☆5:大)

☆☆☆

難易度(☆1:優しい~☆5:難しい)

☆☆☆

 感想 

 同著者の「雑草はなぜそこに生えているのか」に比べ、一回目でも読みやすい内容でした。ただ、その内容は深く、雑草の話から生きるとは何かを考え学ぶことができ、有益な時間となりました。

作中引用(感情が動いた文言等)

①ナンバー1になれるニッチを探すコツ

 ・小さくしぼりこむ

 ・自分でフィールドを作る

②ナンバー1になれるオンリー1の場所を見つける

 ・できるだけ戦わない

   →孫子、戦わずして勝つ

   →たくさん負けて、ナンバー1になれ

    るオンリー1を見つける

 ・チャレンジして負けてもよい

   →自然と違い、人間は命までとられな

    い

   →自分の価値が損なわれるわけでも、

    劣っているわけでもない

   →土俵が違っていただけ

 ・学校の様々な勉強は、多くのチャレンジ

  に必要

 ・苦手でもやってみる

   →無理する必要はないが、決めつけな

    い

 ・敗者が進化する

   →勝つために考え、変わっていく

 ・進化する負け方

   →小さなチャレンジと小さな負けを繰

    り返す

 ・先祖の出会いに感謝する

   →自分の存在という奇跡は、先祖あっ

    てのもの

   →常に負け続けながらも、居場所を求

    め続けた結果が自分である

③大切なものとは・・・

  ・本当の雑草魂

   →踏まれても踏まれても大切なことを

    見失わない

  ・柔よく剛を制す

   →柔も剛もそれぞれの強さがあり、両

    方を併せ持つことが大切

  ・踏まれた雑草は・・・

   →伸びる方向は自由。横、根を伸ばす

   →「根性」「心根」、根っこが大事と

    人は知っている

   →辛いとき、耐えるとき、雑草はじっ

    と根を伸ばす

④生きるとは

  ・頑張らなくていい

   →生きるための必要な力は、きちんと

    体に備わっている

   →人間の脳は優秀な器官だが、考えす

    ぎるのが欠点

 そして・・・

  • 複雑に進化をした生物は、最後に必ず死にます。「形あるもの必ず壊れる」と言われるように、この世に永遠であり続けることのできるものはありません。生き物のまた、永遠に生き続けることはできません。何千年も生き続ければ、その間にさまざまな事故や災害もあることでしょう。環境も変化します。古いものは、新しい時代に合わないこともあります。そこで、生命は古いものを壊して、新しいものを作る仕組みを持つようになりました。つまり、年老いた者は死に、新しく生まれた子どもたちが次の世代を生きるのです。親と子は似ているとはいっても、まったく同じ存在ではありません。常に新しいものを作り続けるのです。こうして親から子へ、子から孫へと命を続けていくのです。年を取って、年老いた個体は死後には死にます。しかし、自分たちの命はなくなっても、次の世代が命を引き継いでくれます。命は永遠に引き継がれていくのです。生命は永遠であり続けるために、限りある命を生み出したのです。そして、生命は次の世代にバトンを渡すため、与えられた区間を走り続けます。すべての生命は、限られた命を全うするために、全力で生き抜くのです。

⑤おわりに

 ・天上天下唯我独尊(とは)

  →広い宇宙の中で、誰もが唯一の尊い

   在である(とのこと)

 ・つまり、私たちの個性が大切    

【中受02】雑草はなぜそこに生えているのか ~稲垣栄洋/著~

 

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再読推奨度(☆1:小~☆5:大)

☆☆☆

難易度(☆1:優しい~☆5:難しい)

☆☆☆☆

 感想 

 雑草がテーマだけあって、草木や自然に強い興味を持てていない自分にとって、用語や成長過程の説明などが頭に入ってこず、読解が難解であった。しかし、普段興味の持っていなかったテーマであることで、自身の認識、視野を広げることができました。同じように草木に興味がない方に、特に一読をお薦めします。

作中引用(感情が動いた文言等)

  • 世の中にはわかっていないことがたくさんある。わからないことだらけなのだ。わからないことがわかったときの喜びが理科の醍醐味であるならば、じつは、理科の教科書の外側の部分にこそ、面白さがあるのである。
  • もしかすると若い皆さんにとって、教科書で勉強することはつまらないことに思えるかも知れない。しかし、教科書の外側の部分は、教科書を勉強することによって初めて見えてくるものなのだ。
  • 弱い植物である雑草の基本戦略は「戦わないこと」にある。強い植物がある場所には生えずに、強い植物が生えない場所に生えるのである。言ってしまえば、競争社会から逃げてきた脱落者だ。
  • 競争に強いばかりが、強さではない。じっと耐える強さも、また「強さ」なのである。
  • 「冬が来なければ本当の春はこない」
  • バラバラであるという性質は、人間の世界では「個性」と呼ばれるものかも知れない。雑草の世界では個性がとても重要なのだ。
  • 生きていく上で「変えてよいもの」と「変えてはいけないもの」がある。変えてよいものに固執して、無駄なエネルギーを使うよりも、変えてはいけない大切なものを守って行けば良いのだ。
  • チャレンジすることは、失敗することである。しかし、チャレンジすることで変わることができる。「Challenge & Change(チャレンジしてチェンジする)」である。
  • 科学技術はもろ刃の剣である。正しく用いれば人類に豊かさをもたらすが、使い方を誤れば人々に危害を加える。包丁も料理に使うには便利だが、人を殺めることもできるし、自動車は今ではなくてはならない乗り物だが、操作を誤れば殺人マシーンともなる。科学技術が進めば進むほど、それを使う人類を正しい判断が求められるのである。
  • 「踏まれたら、立ち上がらない」というのが、本当の雑草魂なのだ。しかし、「雑草は踏まれても踏まれても、必ず花を咲かせて種子を残す」。大切なことは見失わない生き方。これこそが本当の雑草魂なのである。
  • すべての生物はナンバー1であると同時に、オンリー1なのである。このナンバー1になれるオンリー1の場所を生態系では「ニッチ」という。
  • 個性を磨くときには、「こうあるべき」という常識を疑って、捨ててみることも大切だろう。
  • もっとも簡単にナンバー1になれる種目は、「あなたらしさ」である。もっともやってはいけないことは、人と比較することだ。全ての生物は、そうやってずらしながら、ナンバー1になれる「ニッチ」を求めているのである。
  • 但し、「一人勝ちでは生きていけない」「助け合った方が得である」これが、激しい競争社会の中で三五億年の生物の進化が導き出した答えである。
  • これは生物の種の話であるが、私たち人間の世界もきっとそうなのだと私は信じている。この世に生まれた誰もが、どこかでナンバー1であり、どこかでオンリー1の役割を果たしている。そして誰もが欠けてはならない存在なのだ。
  • あなたは幸運である。この世に生を受けたことが幸運なのだ。多少、運が悪いと思ったり、嫌なことがあっても、あなたは幸運の一粒なのだ。
  • もう宝くじが何回当たったよりも、ずっと低い確率であなたは存在している。これはまさに奇跡である。あなたはそれほどの幸運の持ち主なのだ。そして、私たちは生を受けることのなかった多くの存在の代表として、この世に生きている。
  • この世に存在するすべての生命が、ほんの偶然で今の時代に居合わせている。それは、食べたり食べられたり、競ったり奪い合ったりしているように見えるかも知れないが、すべてが奇跡のような命の輝きなのだ。
  • 「教える力」と「教えない力」を意識している。教わらないことの方が学ぶことが大きいときもあるのだ。
  • 中途半端に知っているだけでは、わかりやすく教えることはできない。深く詳しく知って、初めてわかりやすく教えられるのだ。
  • 若いときには、一つの道を進むのもいいが、色々なところに寄り道しながら歩くのも悪くない。
  • サッカーボールを蹴るときも大切なのは「蹴る方の足」ではなく、「軸足」である。「雑草学」が私の軸足だった。この軸足があるから、私にとってはどんな勉強も、「雑草学」を深めるものだったのである。

ーおわりにー

  • 若い皆さんにとって、人生は長い。
  • 未来のことは誰にもわからない。だから、雑草は選択肢を絞ることなく、たくさんのオプションを用意して未来を待ち続けている。昨日今日のことでくよくよする必要はない。来るべき未来に備える心構えが必要なのだ。
  • そして、まっすぐな道などない。色々なことが起こるのが人生だ。しかし、それも人生の愉しみである。道ばたの雑草をみてほしい。まっすぐに育っている雑草など一本もない。雑草の生涯になってさまざまなドラマがあるのだ。
  • そして、私たち大人が振り返ると、人生は短い。
  • 私の祖母は「少年老い易く学成り難し(若いと思っているうちにすぐ年をとってしまうが学問はなかなか成就しない。寸暇を惜しんで勉強せよということ)」と口癖のように言っていた。まだ若かった私は、この言葉の実感がわからなかったが、今はこの言葉を痛感している。
  • 私もまた、若い読者の皆さんに、最後の言葉として、同じ言葉を贈ることにしたい。

【中受03】読書する人だけがたどり着ける場所 ~斎藤孝/著~

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再読推奨度(☆1:小~☆5:大)

☆☆☆☆

難易度(☆1:優しい~☆5:難しい)

☆☆

感想 

 パソコンやスマートフォンに多くの時間を取る現在、読書する時間を確保することや、読書によって得られるものの大切さを再認識できる内容です。特に最近、読書から離れてしまっている大人におすすめの一冊です。

作中引用(感情が動いた文言等)

・読書は体験 

→人格形成にも影響し、人生観、人間観を深

 め、人格が大きくなる

・AI

→①2045年にシンギュラリティ(技術的

 特異点)に到達し、人工知能が人間の脳を

 超え、世界が大きく変化するとの説もある

 ②AIが進化しようが、自分の人生をいかに

 深く生きるかが重要

・教養

×雑学や豆知識

〇自分の中に取り込んで統合し、血肉となる

 ような幅広い知識

・深い人

×単なる物知り

〇教養が人格や人生にまで生きている人

・本を読むこと

→知識、思考、人格が深められる

(人物例):西郷隆盛

→常に本を読み、自らを培っていた

・コミュニケーション能力

→認識力(読書で感情の読み取り、言語化

 可能)

・知識を深める

→深く潜る、読書でによって鍛えられる
・知的

→知識が豊富 + 言語的な認識力が高い人 →万人に開かれている

・教養のある人の方が、人生面白くなる

世阿弥の花鏡

→「是非の初心忘るべからず。時々の初心忘

 るべからず。老後の初心忘るべからず」

・情報と人格

→最終的にはあまり切り分けられない

→情報としての読書であっても、情報と人間

 の営みとを一緒に理解しようとすれば、お

 のずと深まっていく

・子供のいる方

→本の読み聞かせを(ポイントは感情を込め

 て読む)

・読書

→自分とは異なる視線を手に入れるために役

 立つ

→「著者の目線」を意識する)

→繰り返すと、視点が重層的で多角的になる

・教養のある人

→広く深くをやっている

・今月一人の著者にはまったら

→翌月は別の著者にはまる(時期をずらして

 広げていくとよい)

・精神文化

→人間にとって最も重要なもの

→文化を共有している人たちとのつながりを

 感じられる

→読書によって掘り起こせる

・本を読んでいていはっとする部分があった →きっと自分の経験と何かつながりがあるは

 ず(はっとしたら、メモをとる)

・思考力を深める

→感情をのせて読む

→心が動き出せば、思考も一緒に深まってい

 く

→対話するのが一番(相手がいない場合、レビュー読む)

・思考力があるかどうか

→読書感想文でわかる

  •  ですから読みながら読みながらメモする。メモをするという作業が、思考の深堀りを続ける助けになります。「その通り!」「面白い」といった一言でもいいし、自分の体験とつながる部分はそのキーワードを書くのもいいでしょう。
  •  感情が動いたら、その感情をあらわす顔文字のようなマークを付けておくのもいいと思います。面白くて笑ったらニコニコマーク、驚いた箇所はビックリした顔のマーク。読みながら得た自分の感触、インスピレーションをつなぎとめておくのです。

・本の中から好きな文章を選ぶ

 →3つ選ぶ

・少し距離を保ちつつ、思考力を働かせて読むには

→ツッコミを入れる

→先を予測しながら読む

・足りない分野の本を積極的に読むとよい

・知識 + 認識 = セット

・驚くべきことに驚ける

→教養があるから

・知識

細胞分裂のように、倍、倍で増えていく

・あるテーマについて知りたい場合、一人の研究者、学者の先生につき、5冊続けざまに読む

・8割忘れてもいいと気軽に読んでみる

・まずは通しで読んでみる。読み終わったら、同じの著者の別の本を読む

・そのテーマを、2冊読めば、ランクB

        5冊読めば、ランクA

       20冊読めば、ランクS

・本の知識を自分のものにするためには

→人に話すのが一番

・知識を使うには

→文脈が必要(取り出しが上手い人=知識の

 ある人)

・知識を上手に取り出せるコツ

→繋がりを意識して本を読む

・ベストセラー

→流行っている時に読むのが大切

・ブームになる

→その時代の空気にマッチしているから

・単純に、出会い頭で本に出会い、知識を広げるのもよい

・何か一つでも知識を吸収しようとして考えて読む

・使える本はプロでも3冊中2冊

・人に薦められた本を素直に読む

・図があると理解しやすい分野 → 図解で全体像を手に入れる(子供用の図鑑から入るのもあり)

・読書

→人格を深められる(人格者になれる)

・人格 = 知識 + 思考 + 感情 + 性格 = 人間性

  •  いま、将来にたいした変化を期待できず、同じ日の繰り返しのような毎日に閉塞感を持つ人は多いかもしれません。
  •  日々の小さな幸せを感じないことはないけれど、劇的な変化や絵に描いたような幸福が訪れるとはなかなか思えない。それをいったん受け入れてしまうのです。そのうえで、眠る前に「明日はきっと幸福が来る」と信じてみる。すると、清々しい気持ちで眠りにつくことができるのではないでしょうか。苦しくなったら、この言葉が支えになります。

・マイ名言

→人生の様々な局面で支えになる

・マイ名言を見つけるつもりで本を読んでみる

・文学の世界に浸ってみると・・・

 →成功や勝ち負けなんでどうでもよい

 →経済的成功や勝ち負けとは違う次元で成

  立している

・生きる意味を問いながら、その深みを掘っていくのが、人生の醍醐味

・まず何より、人生を愛すること

・人生をサバイブできる人とは・・・

 ×生きる意味、それを探している

 〇自分自身が問いかけられている対象だと

  気づいている

  →愛する者が自分を待っている

 →大切な仕事が自分を待っている

〜一度きりの人生をいかに豊かにするか・・・〜

  •  本を通じて他人の人生を追体験することはできます。別の時代を生きた人、他の国を生きた人の人生も、臨場感を持って知ることができるのです。
  •  これはとても重要なことです。他人の気持ちを理解して認め、受け入れることが必要とされます。それによって、自分自身が成長するし、人生を豊かにしていけるのです。

・一流のもの

→とてつもないパワーがある

・本を読む

→才能はいらない

・一度読書週間がつくと

→どんどん楽に本が読め、知識、思考、人格

 が深まる

・読書

→集中力の訓練になる

→最初にレベルの高い本を、読み切ってしま

 う。

→クライマックスだけでも音読する

→より深く味わうには、大げさに演劇的に音

 読する

→もやもや感、わからない部分があってもい

 い

→3つでも名言が見つけられれば良しとする

・「どっぷり読書」 と 「批判的読書」 

【教養01】西郷南洲翁遺訓 ~西郷隆盛/著 道添進/訳~

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再読推奨度(☆1:小~☆5:大)

☆☆☆☆☆

難易度(☆1:優しい~☆5:難しい)

☆☆

感想 

 43条からなる西郷隆盛の言葉は、人の上に立つ者の心構えが凝縮されている。眼の前にある課題にあてはめて、自分ならどうするか考える時、正しい道を指示してくれる言葉が並んでいる。購入して、定期的に読みたいと思わせてくれる良書です。

作中引用(感情が動いた文言等)

第一条 その任に耐えられるだけのすぐれた人物を選んで、任務に就けるべき

 これまでの貢献があったからといって、重要な役職につけるのは間違っている。正しい道を踏まえ、公平に心を配り、あくまでその任務にふさわしい資質を備えている人に担当させるべきだ。それこそが天意なのだ。

第二条 判断するための定まった方針が必要だ

 ものごとにはすべからく根幹となるものと、枝葉となるものに分かれる。ゆるぎない理念や行動規範という大きな幹が定まっていて初めて、枝葉となるべき現場での判断も適切にできる。

第三条 他の課題を優先させることはあり得ない

 政治の根本は、教育、軍備、そして農業の三つだ。もちろん国が発展していけば、見直しを計っていくべきだろう。いずれにしても、何かをなそうとする場合、もっとも大切なものを根幹に据え、そこから枝葉となる施策を導き出すこと。

第四条 「あんなに身を粉にして働くなんて、気の毒だ」と思われるくらいでなければ本当とはいえない

 万民の上に立つ者なら私利私欲を厳しく戒め、我が身を犠牲にしても民衆のために尽くして当たり前だ。そうして初めて世の中から評価されるだろう。

第五条 子孫のために美しい田んぼを買わない

 自分の子や子孫のためにと、私腹を肥やし財産を残そうなどとしてはいけない。蓄財をなすために、道義にもとることをしかねない。また、そこまでして子供に財産を残したとしても、結局は子供が自立心を培うことができなくなってしまうからだ。これは、西郷家の家訓でもある。

第六条 それぞれの器量に応じて、この小才を生かすべきだ

 世の中、ほどんどの人が小人だけれども、たとえ器量が小さくても、誰より得意なものを持っているはず。だからその才能をあまねく活かし、一人ひとりの持ち味を発揮させなくてはならない。

第七条 策略を用いたせいで、あとあと必ず困ったことになり、結局は失敗する

 策略で手に入れた勝利は見かけにすぎない。いずれ馬脚を現すだけでなく、もっと深刻な窮地に陥るだろう。急がば回れというように、信念に則った正しい道を歩むことが、着実で最も早く目標にたどり着くことができる。

第八条 むやみに外国の真似をするならば、日本の国としてのあり方そのものが損なわれ、国力は衰退してしまう

 維新を境に、西欧の科学技術はもちろん、、文化、思想まで、あらゆるものが大量に押し寄せるようになった。けれどもそれは西欧の猿真似であってはならない。継承し、もっと発展させるべき日本なれではの良さがある。そうして初めて本当の繁栄を手にすることができる。

第九条 徳を教え、よい方向へ国民を導くことこそ、政治の根本である

 人間にとってもっとも大切なものは道徳であり、モラルを醸成していくことが教育を司る政府にとって一番大切な役割だ。それは、西洋だろうが東洋だろうが、共通する真実である。

第十条 問題は、どうして電信や鉄道が必要なのか

 便利だから、優れているから、むやみに西欧の文物を導入すると、その利便性や先進性と引きかえに思わぬ不都合や、失うものがあるかもしれない。自分たちはどうありたいのか、そこをまずしっかり見据えて、本当に必要なものを取り入れるようにしたい。

第十一条 大部分の人は、何が文明で、何が野蛮なのか、少しもわかっていない

 西欧諸国の優れた科学技術や物質文明には、学ぶところが多い。けれども、植民地主義という非文明的な振る舞いから目を背けてはいけない。無批判な西洋礼賛は、思考停止に等しい。

第十二条 西洋の刑法では、もっぱら罪を再び犯さないことを根本の精神としている

 西欧諸国には進んでいる点もたくさんある。たとえば囚人をどう扱っているかについては、まさに文明国としてふさわしい考え方に基づいた制度が定着している。こういう点は日本も積極的に学び、取り入れたいものだ。

十三条 税金はなるべく軽くし、国民の暮らしを豊かにすること

 小賢しい小才をもった役人を登用し、重税をかけて一時的に財政を上向かせるなどもってのほかだ。人民の暮らし向きを無視した施策など、早晩生き詰まってしまう。そればかりか人々の心が荒んで嘘偽りに走り、いずれ国は破綻するだろう。

第十四条 どれだけの歳入があるかをしっかり把握し、その範囲内で歳出を計らなくてはいけない

 歳入以上の歳出をしない。これが国家財政を運営していくうえで、ただ一つの原則だ。予算を預かる者は、身を挺してこの原則を守り抜かなければならない。

第十五条 虚勢を張ってむやみやたらと兵力を増強するなど、愚策にすぎない

 規律ある財政は、軍備においても例外ではない。身の丈に不相応な軍隊を揃えるよりも、高い士気を持った少数精鋭で固め、平和裡に外交施策を推し進めるべきである。

第十六条 上に立つ者は節度を守り、道義を重んじ、そして恥を知る心を忘れてはならない

 道徳がなければ国を運営することはできない。もしも万人の上に立つ者が私利私欲に走るなら、国民もみんな同じ行動を取るだろう。この関係は、親子や兄弟の間でも同じだ。

第十七条 国が倒れようとも本望、というくらいの覚悟を持って臨むべきだ

 強いものには委縮し、言いなりになってしまいがちなのは、人も国も変わらない。信念を貫き、不当な圧力に屈しない姿勢こそ、力の差を乗り越えてなお対等な関係を築き、尊敬を集めることができる。

第十八条 時には「戦い」から目を背けてはいけない

 諸外国と交渉ごとを行う際、もめごとになるのを恐れるあまり、弱腰になってはならない。たとえ国が倒れようとも本望というくらいの毅然とした態度で望み、あくまで交渉によって対立を打開すべきである。

第十九条 自分は完全無欠だと思う人間には、だれも味方しない

 地位や名誉や成功は、おうおうにして孤独を連れてやってくる。逆の視点から見るなら、人は功成り名を遂げると、次第に人の意見や自分に対する忠告を素直に聞くことができなくなるのだ。厳しい意見や批判こそ、更なる成長の糧となる。

第二十条 政策や制度は、それらを運用する適任者があって初めて活きてくる

 ルールを活かすも殺すも人次第。仏作って魂入れずということわざがあるように、政策や制度はそれを施行する人の見識や熱意があってこそ、よりよい効果が導き出せる。

第二十一条 それは「敬天愛人」つまり、天を敬い、人を愛すという境地を目指すこと

 人の道とは、天地自然に備わっているものだ。学問を志す目的も「敬天愛人」でなければならない。そのためには身を修め、いつも自分自身に克つことに務めたい。ものごとをあと一歩のところで達成できないとすれば、敬天愛人から遠ざかり、自分本意となっておごりたかぶるからだ。くれぐれもその点を戒めてかかるべきだ。

第二十二条 日頃から自分に克つことを心がけ、修練を重ね続けなければならない

 私たちの取り巻く状況は刻一刻と変化する。眼の前の火の粉を払うように、場当たり的に対処していては、うまくいくはずのものも不首尾に終わってしまう。常日頃から自らを鍛錬していけば、どんなに事態が急変しようとも、適切に対処できるだろう。

第二十三条 どんな人も許し、受け入れられるくらうの度量と寛容さを自分の心に持つべきだ

 広く学問を修め、同時に身を修める。これら二つを両立させるよう努めること。そうすれば、どんな人も受け入れることができる。心の大きな人物になれるだろう。逆に、人に受け入れてもらわなければ生きていけないような、小人物になってはいけない。

第二十四条 自分を愛する心を持って他人を愛さなければならない

 天の道は自然の道理であり、万物にあまねく恩恵をもたらす。だから私たちは天を尊敬し、人として正しい振る舞いを心がけたい。そして、自分を愛する心をもって、他の人びとに接しなければならない。

第二十五条 人を相手にするのではなく、天を相手にする

 人の言動に一喜一憂せず、より高い視点で、人の上にある存在を相手にするよう心がけたい。そして、広く人間社会や時代の流れを俯瞰し、行動すること。もしも思い通りにものごとがはかどらない場合は、自分自身の誠意が足りなかったと認識すべきだ。

第二十六条 自分だけを愛し、甘やかすようなことをしてはならない

 自分を大切にすることは人として自然のことだ。けれども自己本意になると、思わぬ落とし穴にはまることになる。自らを省みることなく、おごりたかぶるようになるからだ。やがて安逸に流れ、身の破滅を招くだろう。

第二十七条 自分自身が「間違った」と気づけば、それでよい

 過ちを犯したら、素直に間違ったと気づけば、それでじゅうぶんだ。過ぎ去ったことにとらわれて、くよくよ悩む必要などない。それよりも、明日を見据え、正しい一歩を踏み出そう。

第二十八条 正しい道を歩み、道理に則った生き方は誰でもできる

 どんな人だろうと、正しく生きることはできる。それは心がけ次第なのだ。いにしえの聖人もみな、ごく普通の人間だった。ただ、彼らはよき「師」であり続け、正しい道を自ら実践し、人々を導こうとした。

第二十九条 突き詰めるなら、結果はどうなろうとよいのである

 ものごとは上手にできる人もいれば、不首尾な人もいる。また、うまくいくときもあれば、いかないときもある。だが、結果にこだわり過ぎてはいけない。大切なことは、どんな時も正しい道を歩むこと。それには上手も下手もない。そして、行く手に困難が待ち受けていようと、楽しむくらいの気持ちを持つことだ。

第三十条 命を惜しくはない、名誉もいらない。官位や肩書き、金も欲しくはない

 たとえ命の危険が迫ろうと、人として正しい道を実践する。どんなに富で釣ろうとしても動かないし、どんなに身分が高い者にもなびくことはない。このような手に負えそうもない人物でなければ、国の運命を分けるような困難を共にすることはできない。

第三十一条 周囲の評判など重要なことではない

 批評には素直に耳を傾けなければならないが、無責任な悪評や誉め言葉に惑わされてはいけない。何よりも自分が納得できるか。それをゆるぎない尺度に据え、信念に従っていけばよい。

第三十二条 道を志す者は、偉業を達成して人から褒めそやされたいとは決して思わない

 ひとかどの人物なら、他人が見ていないところで身を慎み、道を踏み外すことはない。世間をあっといわすようなことをねらって一時だけ良い気分に浸ろうとするのは、未熟な人間の振る舞いである。

第三十三条 万一の際どうすればよいのかについて心がけている人なら、決して動揺しない。

 大事に直面したとき、適切に対処できるかどうか。それは、平時の際の心構え次第である。つまり、人として正しい道を実践しようという気構えを養っているかどうかだ。相手や第三者からの視点で事態を捉える姿勢も、いざという際、抜かりのない対処を可能とする。

第三十四条 日常的に策略をめぐらしていたとしたら、いざ戦争という際に、策略がうまく機能しなくなる

  策略は、ここぞ!という場面で用いてこそ活きる。その効果が発揮できる最たるものは戦いだ。しかし平時に策略を用いていると、疑心暗鬼や強い恨みを買うことになり、いずれは手痛いしっぺ返しを食らうことになる。日常ごろ、策略とは無縁の生き方をするからこそ、戦いに痛いしっぺ返しを食らうことになる。常日ごろ、策略とは無縁の生き方をするからこそ、戦いにおける諸策も功を奏する。

第三十五条 そんなときも真心を持って接することに尽きる

 私利私欲のために策をめぐらし、うまく立ち回ったように見えても、眼力のある人にはお見通しだ。人と接する際は、真心を持って公平であるべきである。そうでないなら、英雄と呼ばれる人びとの心を掴むことはできない。

第三十六条 知識として蓄えるだけなら、他人が剣術の試合をするのを見ているのと同じだ

 歴史を紐解き、いにしえの聖賢たちについて学ぶのは良いことだ。だが、自分もそうありたいと志すことなく、単に知識だけを身につけているだけなら、学問を修めていないのと変わりはしない。それは剣を取らず、他人が試合をするのを傍観しているのと同じで、敵を前にして逃げるよりも卑怯なことである。

第三十八条 真心が深ければ、たとえその当時は、誰も知る人がいなかったとしても、いつか必ず、世間に知られる

 どんな時代にも人びとに感激を与えるたった一つのもの、それが真心だ。かりに今、誰からも評価されなかったとしても、落胆することはない。いつか必ず、その真心ある行為が日の目を見て、世代を超えて語り継がれてゆくことだろう。

第三十八条 機会を捉えることは、事をなす上で大切である

 好機は偶然出くわすものではなく、自ら招くべきものだ。常日頃、道理に則って準備を重ね、時勢を見極めたうえで行動しなければならない。このようにして手中に収めた成功こそ、真に価値がある。

第三十九条 才能を頼んで行う事業は、危なっかしくて見ていられない

 とかく今の人は、才能や知識さえあれば、どんな事業の思い通りにできると思い込んでいるふしがある。もちろんそうした資質も大事だ。けれども、人として「体」をなしているか、つまり誠意があって信用できる人物かどうかが同じくらい重要だ。せっかくの知識や才能を充分に活かすため、人格を磨かなくてはいけない。

第四十条 本当の君子というものは、いつもこんなふうに満ち足りて、爽快なもの

 あくせくしてばかりで人生を楽しむことのない日々を送っていては、君子のような、大きな見方や考え方はできない。犬を連れて野山に兎を追い、一日の終わりにさっぱりと汗を流すひととき。そのような満ち足りた瞬間が、やはり人間には必要なのだ。

第四十一条 適切に対処することができないなら、それはまるで木でこしらえた人形と同じだ

 どんなに聖人君主のような体裁を繕っても、いざという時、臨機応変に対処できなければ土偶の坊と変わらない。学問を修めるというのは、たんに知識を得るだけでは不十分なのだ。不測の事態に遭遇しても、問題の本質を捉えた解決策を適切に考え出せること。さらには、その先手を打って準備を整えておけることだ。

追加一条 思慮というものはおおよそ、普段何もないときに、座って心静かな状態を重ねておくべき

 問題に対処しようと策を練ってはみるものの、自分は何と考えが浅はかなのだろうと痛感する。これは、普段の人間なら当然のことで、そうそう良案は浮かぶものではない。深い思慮や適切な解決策は、何もない普通の時にじっくりと練っておくべきなのだ。

追加二条 人の営みはつまるところ、たいした差はない

 せっかく東洋の歴史や文化を学んできたのなら、その勉強を続けるべきだ。今日の国際情勢のゆくえも、課題に対する答えも、みなそこに記してある。なぜなら人がたどるべき正しい道とは天地自然のものであり、洋の東西や時代を問わず同じだからだ。

 

~まとめ~

  • この「遺訓」を手にして、西郷隆盛の高潔な精神と広い度量を少しでも我が身に感じる瞬間があれば、その人はすでに立派な指導者に違いない。